TEF/テスト技法

技法名 HAYST法

技法名(英語) HAYST method

説明

ブラックボックステスト技法の1つです。本技法は、直交表の拡張版なので、直交表と適用箇所は同様です。すなわち、デシジョンテーブル(原因結果グラフ、CFD法を含む)と異なり、入力条件の組合せに仕様上は論理関係が特にないようなケースで全体を網羅的に確認することです。

この技法は、まず、ソフトウェアに与えられる入力の種類を因子としてリストアップします(例:用紙サイズ、用紙方向)。次に各々の因子に対してその選択肢を同値分割・境界値分析などを使用して決定します(例:用紙サイズという因子に対する水準は、A3、A4、B4、葉書など)。そして、選定した因子・水準を禁則を考慮しながら直交表に割り付けてテストマトリクスを作成します。

直交表と違うところは、
 ・ L256までの大きな直交表を使用している
 ・ 多因子・多水準に対応している
 ・ 禁則処理に対応している
 ・ 因子の選定にFV表/FL表を使用している
です。

使用例

電車の切符を発券するソフトウェアを考えてみましょう。

乗車駅、下車駅、大人・子供、枚数、表示言語などが入力あたります。特急指定券の発券システムを考えるとさらに、座席の位置、禁煙席の希望、席のグレード、往復券とするか、支払方法といった因子が考えられます。それぞれの因子に対して水準を決定します。

例えば、因子・水準として、

因子水準
乗車駅A、B
下車駅近県、遠方
種別大人、子供
枚数1枚、3枚
表示言語日本語、英語
座席の位置窓際、通路側
禁煙席の希望禁煙、喫煙
席のグレード普通、グリーン
往復券片道、往復
支払方法現金、カード
分割払い一括、分割

を選んだとします。

このとき、現金で分割払いの組合せはないもの(=禁則)とします。

HAYST法でL16直交表に割り付けると、

No.乗車駅下車駅種別枚数表示言語座席の位置禁煙席の希望席のグレード往復券支払方法分割払い
1A近県大人1枚日本語窓際禁煙普通片道現金一括
2A近県大人1枚英語通路側禁煙グリーン往復現金一括
3A近県大人3枚日本語通路側喫煙普通往復カード一括
4A近県大人3枚英語窓際喫煙グリーン片道カード分割
5A遠方子供3枚英語窓際禁煙グリーン往復現金一括
6A遠方子供3枚日本語通路側禁煙普通片道現金一括
7A遠方子供1枚英語通路側喫煙グリーン片道カード一括
8A遠方子供1枚日本語窓際喫煙普通往復カード分割
9B近県子供1枚英語通路側喫煙普通往復現金一括
10B近県子供1枚日本語窓際喫煙グリーン片道現金一括
11B近県子供3枚英語窓際禁煙普通片道カード一括
12B近県子供3枚日本語通路側禁煙グリーン往復カード分割
13B遠方大人3枚日本語通路側喫煙グリーン片道現金一括
14B遠方大人3枚英語窓際喫煙普通往復現金一括
15B遠方大人1枚日本語窓際禁煙グリーン往復カード一括
16B遠方大人1枚英語通路側禁煙普通片道カード分割

となります。

「現金×分割」の組合せは存在しないので、その部分については「現金×一括」として禁則回避しています。

補足

HAYST法は、網羅率100%を目指しませんが、気になる人はAllPair法を使用して追加生成するとよいでしょう。
AllPair法との違いはAllPair法 の説明を参照ください。

参考文献

書籍: ソフトウェアテストHAYST法入門

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Last-modified: 2008-08-22 (金) 19:33:14 (5718d)